雨宮処凛の「世直し随想」

               右翼の鈴木さん


 あなたの中の「右翼」のイメージはどのようなものだろうか。

 街宣車に乗った昔ながらの右翼を想像する人もいれば、ここ最近の「ネトウヨ」が浮かぶ人もいるだろう。書店に並ぶ嫌韓本などを思い浮かべる人もいるかもしれないし、映画「主戦場」を思い出す人もいるかもしれない。

 

 私が初めて会った「生右翼」は、一水会の鈴木邦男氏。もう20年以上前、たまたま行ったイベントの打ち上げで隣の席になったのが鈴木さんだった。第一印象は「ぼーっとしたおじさん」。話してみると気さくで面白くて、誰かが「この人、右翼なんだよ」と教えてくれた。へー、右翼の人っていい人なんだ。初右翼が鈴木さんだったことから、私の中にそのようなイメージが刷り込まれた。

 鈴木さんは現在、「ほとんど左翼」と言われている。「自由のない自主憲法より、自由のある押し付け憲法の方がいい」と言い、安保法制に反対し、さかのぼれば国旗国歌法にも反対。ネットでは「売国奴」とたたかれている。

 そんな鈴木さんが主人公のドキュメンタリー映画が完成した。タイトルは「愛国者に気をつけろ!」。 なぜ「右翼」になったのか。なぜ、そこから今のようなスタンスになったのか。そしてなぜ、いつも鈴木さんの周りには彼を慕う人が多くいるのか。

 

 1943年生まれの鈴木さんはもう70代半ば。最近は体調を崩しているといった話を聞くことが多くなった。

 「愛国者に気をつけろ!」は来年2月公開予定だという。私も出ているので、見てほしい。