保険と純率と適正金利
加藤 禎助
「損保のなかま」を楽しく拝見しております。
10月号に積み立て保険に触れた記事がありましたが、関連して少し私の意見を述べます。
長総の保険内容は、住総、店総です。私の記憶では興亜火災が開発し、他社が追随したものです。
積み立てファミリーは家族型の交通傷害保険です。日動火災が発案したと思います。
いずれも保険として優れています。当時、成長期にあった経済状況の中で金利も5.6%の時代ではなかったかと思います。
損保は掛け捨てという契約者の不安を払拭し新しく需要を喚起しました。私の意見は、保険の善し悪しは純保険料が十分確保されているかどうかです。当時は積み立て部分の金利で純保険料を稼ぎ出すことが可能だったので、勢い保険会社は積み立てに飛びついた訳です。
ノーロス、ノープロフィットの自賠責競争に東海、安田が夢中になったのはこうした背景があったのではないでしょうか。
日動の外勤の皆さんが、くたばれ長総!!と運動方針を掲げたのは成績換算率(給与)やノルマの問題があったからではないでしょうか。
「マルフク」などは論外です。これは保険とは言えません。純率のほとんどない金融商品をただ金集めのため調子に乗って考え出された訳です。節税などと言っていたのは保険から外れていたことへの弁解です。
今や、超低金利時代に入り積み立て保険は消滅しました。第一火災のマルマルもなくなりむしろ寂しい限りです。
適正金利とは?が、新しい時代のテーマとなる日が来るのでしょうか。
( 写真は、散歩でよく立ち寄る染井霊園、幣原喜重郎の墓前にて)
社会の調和と安泰に必要な五常の徳は、「仁・義・礼・智・信」だと儒教が教えている。なかでも重要なのが「仁」と「義」である。それは人間が守るべき道徳で、礼儀上なすべき努めのことである。日本人が大切にしている基本的な価値観でもある。
10月10日、公明党は政権を離脱した。
公明党は連立維持の条件として「靖国神社参拝」「裏金問題の解明」「企業献金問題」の対応を連立維持の条件としていたが、これらに対して自民党から明確な回答がなかったからだとしているが、自民党は「一方的に告げられた」と言っている。
私は、公明党が連立の条件を出したとき、その条件に一瞬「今さら?」という気がした。連立を組んで26年、その間、それらは何度も問題になったはずである。それを容認(?)してきたのに、なぜ、今になってそれを頑なに主張するのかと思ったのだ。だが、それは、民意に押されているからだと好意的に解釈していた。
自民党の党大会で、高市早苗が総裁になり、麻生太郎が副総裁になった。常識的に考えると、新総裁はいの一番に連立を組んできた公明党に挨拶に出向き、その上で「今後、どうしましょうか?」と相談するのが筋であろう。
だが、そうではなかった。高市と麻生が最初に会ったのが、国民民主党代表の玉木雄一郎だったのだ。当然、政権協力の話をしたのだろう。
「仁」と「義」に続くのが「礼」である。これも日本人の基本的な価値観で、日本人はこれらに欠ける人間を徹底的に嫌う。
自民党は、支えてくれた公明党に「仁義」も「礼節」も示さなかった。公明党からすればそれは侮蔑されたことであり、屈辱と怒りを感じたはずである。私だって相手がそういう人間なら、さっさと見切りをつけて縁を切るはずだ。
1973(昭和48)年『仁義なき戦い』という映画があった。シリーズで5作創られ、1999(平成11)年「日本映画遺産200」にも選ばれている。
ヤクザを主人公にしているが、ヤクザ映画でも任侠映画でもない。義理と人情、恩義と裏切り、愛と憎悪、怨念と殺戮を描いた群衆活劇で、戦後日本の暗黒社会を描いていた。
石破首相の退陣から総裁選、新総裁誕生と今までの政局をみていると、権力を握るための打算と工作、陰で暗躍する長老たちばかりが目につく。映画は「仁義なき社会は抗争を生む」といっていたが、自民党内部はまるでこの映画のようである。
かつて、自民党と有権者は、政策より義理と人情でつながっているといわれていた。そのころの自民党には、まだ「仁・義・礼」もあったということだろうが、今はカネがすべてのようだ。「五常」の残るは「智(道理をよく知り、知識が豊富)」と「信(情に厚く真実を告げ約束を守る)」だが、自民党はそれさえも失ってはいないか。