人間優先の職場めざして
あいおい損保職場革新懇が講演と学習対話集会
講演する加藤健次弁護士(中央)
「あいおい損保職場革新懇」は11月9日、エデュカス東京で「長時間労働・ハラスメント・過労死のない、仕事に誇りの持てる、人間優先の職場をめざして」をテーマに33回目の「学習と対話」集会を開きました。これはあいおい損保職場革新懇の第16回総会を兼ねたものです。
集会では、「過労死ゼロ社会の実現を目指して~現状とOB・市民の役割」と題した加藤健次弁護士(東京法律事務所)の講演が行われました。
加藤氏は、恒常的長時間労働、下がり続ける賃金と増え続ける大企業の内部留保(450兆円)、増え続ける非正規、最低賃金と地域格差等から、「世界で一番企業が活躍しやすい国」といわれる日本の実態を、明らかにしました。
また、その背景として、安倍政権が「自発性」「裁量」「多様な働き方」等々、ごまかしで労働基準法の骨抜きを図っていることを指摘しました。
そして、安倍政権の「改革」との対決点は、労働時間の規制、全国一律最低賃金制の確立、労働者保護法の実質骨抜きを許さない、公正な税制と安心して暮らせる社会保障制度の確立であること。過労死を生みだす長時間労働を解消するための方向として、実効ある労働時間の法規制(残業の上限規制やインターバル規制等)、長時間労働をなくす職場での取り組み、社会的な条件づくりが必要であることを強調しました。
※参考資料 損保産業における「企画業務型裁量労働制」と「事業場外みなし労働時間制」はこちら
講演の後、「過労死を考える家族の会」の渡辺しのぶさんや参加者が発言しました。
詳細はあいおい損保職場革新懇ホームページ をご参照ください。
(大石京子)
衝撃的だった「退職代行業」
講演で加藤氏が強調したポイントは「労働時間の規制=人間の生活リズムの尊重」。「全国一律の最低賃金制の確立」。「労働者保護法制の潜脱(法律用語・禁止されている手段以外の手段を用いて法の規制を免れる行為)を許さない」。「公正な税制と安心して暮らせる社会保障制度の確立」でした。そして、衝撃的だったのは、現在「退職代行業」(退職を言い出す勇気のない若者の代わりに退職の手続きを行う業者)が流行っているという報告でした。(岡本敏則)
社会の調和と安泰に必要な五常の徳は、「仁・義・礼・智・信」だと儒教が教えている。なかでも重要なのが「仁」と「義」である。それは人間が守るべき道徳で、礼儀上なすべき努めのことである。日本人が大切にしている基本的な価値観でもある。
10月10日、公明党は政権を離脱した。
公明党は連立維持の条件として「靖国神社参拝」「裏金問題の解明」「企業献金問題」の対応を連立維持の条件としていたが、これらに対して自民党から明確な回答がなかったからだとしているが、自民党は「一方的に告げられた」と言っている。
私は、公明党が連立の条件を出したとき、その条件に一瞬「今さら?」という気がした。連立を組んで26年、その間、それらは何度も問題になったはずである。それを容認(?)してきたのに、なぜ、今になってそれを頑なに主張するのかと思ったのだ。だが、それは、民意に押されているからだと好意的に解釈していた。
自民党の党大会で、高市早苗が総裁になり、麻生太郎が副総裁になった。常識的に考えると、新総裁はいの一番に連立を組んできた公明党に挨拶に出向き、その上で「今後、どうしましょうか?」と相談するのが筋であろう。
だが、そうではなかった。高市と麻生が最初に会ったのが、国民民主党代表の玉木雄一郎だったのだ。当然、政権協力の話をしたのだろう。
「仁」と「義」に続くのが「礼」である。これも日本人の基本的な価値観で、日本人はこれらに欠ける人間を徹底的に嫌う。
自民党は、支えてくれた公明党に「仁義」も「礼節」も示さなかった。公明党からすればそれは侮蔑されたことであり、屈辱と怒りを感じたはずである。私だって相手がそういう人間なら、さっさと見切りをつけて縁を切るはずだ。
1973(昭和48)年『仁義なき戦い』という映画があった。シリーズで5作創られ、1999(平成11)年「日本映画遺産200」にも選ばれている。
ヤクザを主人公にしているが、ヤクザ映画でも任侠映画でもない。義理と人情、恩義と裏切り、愛と憎悪、怨念と殺戮を描いた群衆活劇で、戦後日本の暗黒社会を描いていた。
石破首相の退陣から総裁選、新総裁誕生と今までの政局をみていると、権力を握るための打算と工作、陰で暗躍する長老たちばかりが目につく。映画は「仁義なき社会は抗争を生む」といっていたが、自民党内部はまるでこの映画のようである。
かつて、自民党と有権者は、政策より義理と人情でつながっているといわれていた。そのころの自民党には、まだ「仁・義・礼」もあったということだろうが、今はカネがすべてのようだ。「五常」の残るは「智(道理をよく知り、知識が豊富)」と「信(情に厚く真実を告げ約束を守る)」だが、自民党はそれさえも失ってはいないか。