雨宮処凛の「世直し随想」

             消費増税への悲鳴


  2019年10月1日、とうとう消費税が8%から10%に上がった。

 5%から8%に上がって4年。8%の税率に「こんなに取られるんだ」とビビっていたのに、それが10%になったのである。

 増税を1週間後に控えた9月23日に、東京・新宿で「STOP消費税 暮らしを守る緊急デモ」が開催され、600人が参加した。

 集まった人々が掲げるプラカードには、怒りの言葉が並んでいた。

 「首相官邸に人参の皮を大量に送りつけたい」「もう、ムリ」「もっと消費したい」「台風被害者への追い討ちやめろ」

 

 また生活保護利用者からも「限界」という声が上がっている。13年から続く生活保護基準の度重なる引き下げ。そのたびに食費を削り、猛暑でもエアコンを極力使わないなど涙ぐましい節約を続けてきた彼ら彼女らからは、引き下げのたびに「これ以上何を削ればいいのか」という言葉を聞いてきた。そうして今回の増税。「国から『死ね』って言われてる気がする」という言葉も耳にした。

 

 そんな消費税、「社会保障のため」という名目ながら、実際は法人税減税の穴埋めに使われているのは有名な話だ。1989年から14年までの消費税収は282兆円だが、同期間の法人税収は255兆円も減っている。14年の増税の際は「全額を社会保障の充実に使う」という触れ込みだったが、実際そこに使われたのは16%のみ。あとの8割以上は闇の中だ。

 

 あちこちから上がっている「生活できない」の悲鳴に政治はどう答えるのか。今まさに、問われている。