「続・かんぽの不正とそんぽ」

暗躍する損保人脈


                                                   前田 功


 

昨年4月、NHKの「クローズアップ現代+」が、かんぽ生命不正について報じた。それに対して、日本郵政の鈴木康雄上級副社長が、NHKに圧力をかけていたことが問題になっている。あまり、一般マスコミでは報じられていないが、その裏で損保人脈が蠢いているのではないかと思われるところがある。

 

 鈴木康雄氏が元の総務事務次官であることはどの報道でも触れられている。しかし、総務事務次官を退官した2010年(平成22年)から2013年(平成25年)までの間、損保ジャパンで顧問として遇されている。このことはほとんど報道されていない。

 一方、圧力をかけられたNHKについては、経営委員会石原進委員長(JR九州相談役)や執行側の上田良一会長(三菱商事出身)の名前がよく出ている。ただ、10月3日の野党合同ヒアリングには、NHKの執行側から木田幸紀放送総局長が、経営委員会からは高橋正美委員(常勤監査委員)が出席している。 

この高橋正美氏は2017年(平成29年)2月まで損保ジャパンの副社長だった人だ。

このことも報道されていない。

 

野党議員は、経営委員会で議論したこの件の議事録公開を求めたが、高橋氏は「議事録はない」と発言し、突っぱねている。

経営委員会は、NHKの最高意思決定機関で会長「以下執行部を監督するものであり、その議事録については、放送法で作成を義務づけしている。法違反と言われても隠さなければならない議論があったと推察される。

「隠蔽は水際でやっておこう」ということだろう。加計学園疑惑の際、今治市が官邸を訪問した際の入館者リストがないと言った萩生田氏(当時、官房副長官。現在、文科大臣)のやり方を踏襲したんだなと思う。

 (この議事録については、後日、石原進委員長が、「あった」と言い出した。「ない」のもまずいと考え直したのだろう。提出してくるものが実際の議論どおりのものとは信じられないが・・・。)

鈴木氏が損保ジャパンにいた2012年(平成24年)、損保ジャパンの副社長だった石井雅実氏が、かんぽ生命の社長になっている。石井氏は2017年、東京海上出身の植平光彦氏にその職を譲っている。 

そして、その当時、高橋正美氏は損保ジャパンの常務。副社長になったのは2016年。そして2017年NHKの経営委員(常勤監査委員)になっている。

 

 なんか、元同僚同士、不正に絡んで暗躍し、恩を売ったり、かばいあったりしているのでは…。そんな感じがしてならない。